ある種バーチャルなブログ

自分が触れた創作物についてまとめるつもりです

[ネタバレ有り]プロメア感想

プロメアを見てきました。

ネタバレを含む感想になるのでまだ見てない人はタイトルの通りバックしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


まずシナリオ。やはり中島かずき脚本ということなのでグレンラガンキルラキルの系譜というかまあやってることはいつも通り。

やはり映画は尺がないのでキルラキルのように全員を描くというよりは中心人物にスポットを当てるグレンラガンに近いように感じました。

 


具体的な内容に踏み込んでいくと、この物語はグレンラガンキルラキルの精神的続編でありかつオルタナティブな完結編であると感じました。

 


というのはあくまで一個人の感想ですが、地球を破滅させてしまうプロメアとバーニッシュの関係性がグレンラガンに置き換えればスパイラルネメシスと螺旋力、キルラキルならば原始繊維生命体と戦闘繊維の関係性と一致していた点です。グレンラガンにおいてはアンチスパイラルを倒すことで全宇宙の生命は自由を得ますがスパイラルネメシスに関しては止めると約束し棚上げにし、ニアを失います。キルラキルでは地球の繊維生命体は撃退しひとまずの平穏を得ますがラギョウはまた繊維生命体はやってくると言い残し自死します。それに対し流子はそれでも人は人であり続けると言い返し、地球に落下。鮮血は流子を守って燃え尽きます。

 


これに対してプロメアは前2作と同じ流れを辿りつつも相違点が二つあります。プロメアにおいてはプロメアを完全燃焼させることで時空断裂帯を解消し、バーニッシュの能力は消え、問題は完全に解決し、ヒールであるクレイフォーサイトが生き延びます。

つまり、倒すべき悪役が生き延びるという物語に変化し、問題が解決されるという完結を迎えているのです。

この変化に関しては昨今の世相が反映されている気がします。ただ悪を殴り倒せばいい、ただ問題を先送りにするという事象はプロメアを見る層であれば賛否はともあれネットでいくらでも見ていると思います。グレンラガンキルラキルもそんな風潮を許容する作品ではありません。けれども解決方法が悪を倒す、問題を先送りにするになってしまっていた。しかし時間が経過し今の世の中になり、その手段は問題を解決しないどころか悪手ですらあることがいろんな事案から示され、グレンラガンキルラキルで残された課題をメタ的にも物語的にも解決する物語として構築されたのがプロメアなのではないかと思っています。

 


キャラクターに関しては個人的にはガロがいちばんキーだったのかなーと(好きなキャラだとアイナがかなり好き)

今までの主人公たちであればとにかく殴り倒しにいっていたところが、ガロは相手の話を聞きます。バーニッシュの事情を聞いたなら燃やさなければ大丈夫なはずだと諭そうとし、クレイの計画を聞いたなら殴り倒そうとはせず他の手段を探そうとし、暴れまわるリオを見たなら殴るより先に止める。そして予告でもあったあのセリフ。

 


「俺は助けるぜ、リオも、地球も、あんたもな」

 


このセリフとそれを実行しきったラストはグレンラガンキルラキルと決定的に異なっていて、ニア、鮮血のような対価を払わない形での問題の解決で物語は幕を閉じます。

 


このラストに関しては甘いと感じる人もいると思うし、この結末をグレンラガンキルラキルでも見たかったという人もいると思います。個人的には物語くらい対価なしで頑張ったら頑張っただけの結果が出てもいいんじゃないだろうかと思った次第でした。

 


あと一つ忘れてた、デウスエクスマキナもといリオデガロンもといガロデリオンにリオとガロが乗ることになった理由についてです。

クレイを止めたかった博士の元にたまたまリオとガロが飛んできてたまたまリオがバーニッシュでたまたまクレイを止めたいという気持ちが一致していた。

ここも御都合主義である一方で個人的にはもう一つの見方があると思っています。

やってくるのは誰でも良かった(まあ少なくともバーニッシュは一人は必要ですが)

ただの一般人でも良かった。

下手したらあのピザ屋の店員と店主が偶然ここに飛ばされてきてもよかった。

何かを変えるのに資格なんて必要はないって、そういう話だったのかなと解釈したのですが、みなさんはどうでしょうか?

 


ここまでで伝わってるかわかりませんが僕はこのプロメアかなり好きです。一方で結局お騒がせな宇宙人プロメアに振り回されただけじゃんみたいな気持ちもあり、完璧なシナリオとも思っていません。それは映画という枠に落とすのが難しかったというのもあると思っていて、可能であるならばプロメアの魂を受け継ぎさらに進んだ答えと洗練されたシナリオの作品をまたこのスタッフ陣でテレビアニメで見せて欲しいという気持ちがあります。

 

 

 

とまあここまでがストーリーの感想というか考察になります。

 


次に映像です。

多分あの映像に文句をつけられる人はそうそういないんじゃないかと素人ながら思いました。

グレンラガンキルラキルでの要所での描き込みが最初から最後まで続く感じ。

場面の雰囲気に合わせた緩急のある絵柄。

映像面全体としてはそれこそここまでトリガー、今石監督のしてきたことを昇華させたような集大成になっていた気がします。

そして要所でいうならデウスエクスマキナ、リオデガロン、ガロデリオン。まあ完全にグレンラガンファンへのファンサービスでしたねw

デウスエクスマキナからの変形時の映像はキルラキルの鮮血の変形シーンへのオマージュなのかなとか思ったり。

プロメアは単体として完成された作品でグレンラガンキルラキルを見ていない人でも楽しめる映画ですがやはり尖った作品である意識はあって、グレンラガンキルラキルファンが客層の多くを占める自覚はあったって感じですかね。

 


こんなあたりがわたしのプロメアへの気持ちです。

音楽とか諸々書こうと思ったことあったんですが書きたかったこととしてはストーリーのところで完全燃焼したからもういいや。

 


映像のとこ書いてて気づきましたがこのクオリティをテレビアニメ2クールでやったらトリガー破産しますね。

映像は今までのレベルでもいいから(とはいえこのスタッフ陣はその段階でやれる限りのことをやりきろうとする気がしますが)、グレンラガンキルラキル、プロメアを経てさらに先の物語をどうにか見せて欲しいなんて、繰り返しながら思ってしまう次第でした。